株式会社キャストリコ
主要事業
プロダクツ事業、エンジニアリング事業及びシステム事業を主体とするエレクトロニクス事業。
サマリ
2025年10月期は、売上高が3,609百万円(前期比3.3%増)と微増したものの、営業利益は122百万円(同60.7%減)、経常利益は131百万円(同58.1%減)、当期純利益は79百万円(同63.0%減)と大幅に減少した。利益面での大幅な悪化は、特別損失として17,849千円の減損損失を計上したことや、売上原価率の上昇などが影響したと見られる。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは487百万円と大幅なプラスに転じ、期末資金残高は702百万円となった。2026年10月期は、売上高は減収(2.8%減)を見込むものの、利益面では大幅な回復を見込んでおり、営業利益は116.0%増、当期純利益は133.1%増を予想している。
AIインサイト
企業の戦略意図として、利益率の急低下(特に営業利益率が3.4%に低下)があったにもかかわらず、2026年10月期には売上微減の計画に対し利益を大幅に伸ばす(当期純利益+133.1%)ことを明確に示しており、これは前期発生した大きな特別損失(減損損失17,849千円)からの正常化、およびコスト構造の抜本的な改善や効率化への強い意図が読み取れる。優先順位の変化としては、利益率が悪化した2025年10月期にキャッシュ・フローを大幅に改善(営業CFが487百万円の収入)しており、現預金積み増し(期末残高702百万円)を優先したことが示唆される。これは、地政学リスクや市場の不透明性が残る中で、財務の健全性を高めることを重視した結果と解釈できる。ビジネスモデルの根幹であるエレクトロニクス事業については、中長期的成長を期待しているものの、短期的な需要調整局面を認識していることが伺える。
業績
2025年10月期の業績は、売上高が3,609百万円(対前期比3.3%増加)と堅調であった一方、利益は大幅に減益となった。営業利益は122百万円(同60.7%減少)、経常利益は131百万円(同58.1%減少)、当期純利益は79百万円(同63.0%減少)となった。売上高に対する各利益率は、営業利益率3.4%(前期8.9%)、経常利益率3.6%(前期8.9%)、当期純利益率2.2%(前期6.1%)となり、大幅に低下した。特に、当期特別損失として17,849千円の減損損失を計上したことが純利益圧迫の大きな要因である。
財政状態
総資産は2,381百万円(前期末比93千円増加)、純資産は1,475百万円(同74,081千円増加)となった。自己資本比率は62.0%と前期の61.2%からわずかに改善した。流動資産の増加(現金及び預金の増加416,155千円等)に対し、仕掛品の減少が相殺した。負債面では、流動負債が102,278千円減少し(短期借入金の減少116,000千円が主因)、固定負債は121,134千円増加した(開発費負担引当金の増加60,443千円、長期借入金の増加58,420千円が主因)。純資産の増加は、当期純利益79,591千円の計上による利益剰余金の増加が主要因である。
キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは487,534千円の収入となり、前年の53,810千円の使用から大幅に改善した。これは主に棚卸資産の減少額352,442千円や税引前当期純利益の計上113,531千円によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは13,019千円の使用に留まり、前年(61,068千円の使用)よりも支出が減少した。財務活動によるキャッシュ・フローは38,312千円の使用(前年172,540千円の使用)であり、短期借入金の純減少116,000千円が支出増の要因となったが、長期借入れによる収入100,000千円で相殺された。期末の現金及び現金同等物は702,072千円となり、前期末比で436,202千円増加した。
今後の見通し
2026年10月期通期業績予想は、売上高が3,508,594千円(対前期比2.8%減少)を見込む。利益面では大幅な回復を予想しており、営業利益は264,956千円(同116.0%増加)、経常利益は268,829千円(同104.6%増加)、当期純利益は185,492千円(同133.1%増加)を見込んでいる。配当予想については、2026年10月期については未定である。
株主還元
2025年10月期の実績として、期末配当2.50円(中間期末と同額)が実施され、年間配当合計は2.50円であった。配当性向は6.9%である。2024年10月期は2.50円の配当を実施していた。2026年10月期の配当金額は未定である。