株式会社多摩川ホールディングス
主要事業
無線機器、計測器、情報機器、産業用機器の製造・販売を主たる業務とした「電子・通信用機器事業」、および小形風力発電所をはじめとした再生可能エネルギー発電所の分譲販売及び電力の売電を主たる事業とした「再生可能エネルギー事業」。
サマリ
2025年10月期は、売上高5,587百万円、営業利益278百万円、経常利益231百万円、親会社株主に帰属する当期純利益268百万円を計上し、前期(7ヶ月決算)からの大幅な増収増益を達成しました。特に電子・通信用機器事業において官公庁向け需要の急拡大とインフラシェアリング関連の販売拡大が寄与しました。この結果、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象または状況は解消したと判断されました。一方で、期末資金残高は前期末比で減少しました。2026年10月期はIFRS適用予定であり、売上高6,270百万円、事業利益369百万円を見込んでいます。
AIインサイト
企業の戦略意図として、2025年10月期で継続企業の前提に関する懸念を解消し、安定した事業基盤の確立を最優先事項としています。電子・通信用機器事業では、官公庁向け需要増大とインフラシェアリング市場の拡大を捉え、ベトナム工場の生産キャパシティ2倍への拡大移転や人材確保を通じて、高品質・低コストでの安定供給体制構築に注力しています。これは、需要増加に迅速に対応するための「生産力強化」を成長への意思の具体的な表れです。再生可能エネルギー事業では、売電収入の安定確保を目指しつつ、系統用蓄電所の開発検討、インドネシアでの小水力発電所プロジェクト着手など、電源の多様化と事業リスク分散を図っています。優先順位の変化として、次期(2026年10月期)から任意適用となるIFRSへの移行準備を進めており、これは国際的な事業展開や情報開示のレベルアップを意図していると考えられます。また、期末に発表された新株予約権の第三者割当(Cantor Fitzgerald Europe宛)は、多額の資金調達(差引手取金概算額1,265百万円超)を目的としており、特に将来の事業拡大(例:東南アジア進出)や設備投資(生産フロア拡充、蓄電所開発)のための財務基盤強化が現在の最重要課題の一つであることが示唆されます。
業績
2025年10月期(通期)の連結業績は、売上高が5,587百万円、営業利益278百万円、経常利益231百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が268百万円となりました。前期(2024年10月期、7ヶ月決算)は売上高2,356百万円、営業損失△47百万円、経常損失△51百万円、親会社株主に帰属する当期純損失△113百万円でした。当期は大幅な改善を達成し、当期純利益率は5.0%となりました。セグメント別では、電子・通信用機器事業の売上高が5,029百万円(セグメント利益574百万円)、再生可能エネルギー事業の売上高が558百万円(セグメント利益74百万円)でした。受注残高は5,583百万円と過去最高を記録しています。
財政状態
連結総資産は11,276百万円(前期末比1,433百万円増加)、純資産は5,471百万円(同786百万円増加)となりました。純資産の増加は、主に有価証券評価差額金や資本剰余金の増加によるものです。自己資本比率は48.4%となり、前期末の47.5%から微増しました。総資産の増加は、主に売掛金や仕掛品の増加によるものです。一方、負債は5,804百万円(同647百万円増加)となり、賞与引当金や長期借入金の増加が主な要因です。
キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは△25百万円の支出超過(前期は257百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△472百万円の支出(前期は97百万円の支出)となり、有形固定資産の取得による支出(606,887千円)が主な要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは76百万円の収入超過(前期は391百万円の獲得)となり、長期借入れによる収入(490,000千円)があったものの、返済等により前期より大幅に減少しました。現金及び現金同等物の期末残高は1,332百万円(前期末比403百万円減少)でした。
今後の見通し
2026年10月期(通期)の連結業績予想は、売上高6,270百万円、事業利益369百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益238百万円を見込んでいます。注記として、同予想は任意適用する国際財務報告基準(IFRS)に基づき作成されているため、日本基準による2025年10月期実績に対する増減率は記載されていません。また、次期は電子・通信用機器事業の拡大と再生可能エネルギー事業の積極的な投資継続を見込んでいます。
株主還元
2025年10月期は、期末配当として1株当たり5.00円(合計5.00円)の配当を実施し、配当金総額は32百万円でした。2026年10月期(予想)も年間配当5.00円(合計5.00円)を計画しており、配当性向は12.12%(実績)、13.83%(予想)となっています。なお、2025年10月期の配当の一部32百万円は資本剰余金から支払われています。