いちごオフィスリート投資法人
主要事業
主として東京都心部、その他首都圏、政令指定都市及び県庁所在地等に立地するオフィス不動産等及びこれに関連する不動産対応証券への投資運用。
サマリ
本投資法人は、第40期(2025年10月期)において、自己投資口取得(16,969口、消却完了)による投資主還元策を実行し、収益安定性の高い富山物件を鑑定評価額の1.5倍で売却し積極的な譲渡益を分配しました。同時に、東京都立川市の中規模オフィスビル「いちご立川公園通りビル」の取得を決定・決済し、ポートフォリオの質向上と成長を目指しました。また、心築CAPEX投資資金としてコミットメント型タームローンによる借入れを実行し、既存物件のバリューアップを加速する方針です。期末稼働率は97.5%と安定した水準を維持しています。
AIインサイト
企業の戦略意図は、「中規模オフィスに特化したポートフォリオ構築」と「心築による価値向上(内部成長の加速)」の二軸で明確です。投資環境が堅調な中、富山物件(収益安定性は高いがバリューアップ余地限定的)を売却し譲渡益を分配しつつ、立川市の物件を取得(外部成長)しており、ポートフォリオの機動的な組替えを積極的に行っています。特に、CAPEX(心築CAPEX)投資の資金調達をコミットメント型タームローンで実行しており、資産価値向上のための設備投資を優先順位高く位置づけていることが伺えます。これは、既存物件の競争力維持・強化による持続的成長への強い意思を示しています。また、金融環境の変化に対応するため、財務戦略として借入期間の長期化・分散化、金利固定化比率への留意を掲げており、財務基盤の安定化と格付向上(A+から更なる向上)を目指す姿勢も明確です。
業績
当期(2025年5月1日~2025年10月31日)の業績は、営業収益10,235,577千円(前期:9,271,777千円)、営業利益6,094,773千円(前期:5,070,627千円)、経常利益5,174,414千円(前期:4,172,377千円)、当期純利益5,173,809千円(前期:4,171,772千円)を計上しました。特に、不動産等売却益が前期2,012,680千円(前期:1,094,176千円)と大幅に増加したことが収益を牽引しました。分配金は投資口1口当たり2,715円でした(前期:3,330円)。
財政状態
当期末(2025年10月31日現在)の総資産は246,076,422千円(前期末:244,360,907千円)となりました。負債合計は138,713,035千円、純資産合計は107,363,386千円(前期末:104,777,145千円)です。自己投資口取得(支出1,580,083千円)により純資産合計は減少しましたが、当期純利益により増益を確保しています。自己投資口消却(35,889口、消却総額3,080,002千円)に伴い、出資剰余金控除額が増加し、純資産構成に変動が見られます。
キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは11,853,569千円と堅調に推移しました(前期:6,486,971千円)。投資活動によるキャッシュ・フローは△1,326,123千円の流出超であり、主に不動産等の売却による収入(信託有形固定資産の売却による減少額4,577,219千円がCF上は収入として計上)があったものの、新規取得(いちご立川公園通りビルは後発事象)に向けた活動や設備投資等で流出しました。財務活動によるキャッシュ・フローは△4,184,939千円の流出超となり、主に分配金の支払額(△5,176,597千円)によるものです。期末の現金及び現金同等物は26,987,118千円となりました。
今後の見通し
2026年4月期(半年間)の見通しは、営業収益8,665百万円、営業利益4,467百万円、経常利益3,494百万円、当期純利益3,493百万円、1口当たり分配金2,274円を見込んでいます。2026年10月期(半年間)の見通しは、営業収益8,369百万円、営業利益4,118百万円、経常利益3,066百万円、当期純利益3,065百万円、1口当たり分配金2,062円を見込んでいます。これらの予想は、2025年10月31日時点で保有する86物件を対象としており、今後の物件異動がないことを前提としています。不動産等売却益は計上しない前提のようです。
株主還元
分配金については、投資主資本の部において「投資口1口当たり分配金が1円未満となる端数部分を除く全額4,175,574千円を利益分配金として分配する」方針に基づき、当期の投資口1口当たり分配金は2,715円となりました。また、当期中に16,969口(発行済投資口総口数の1.1%)の自己投資口取得を実行し、消却を完了しています。